経済産業省は2026年7月31日、6月の鉱工業生産指数(速報、2020年=100、季節調整済み)が103.9、前月比1.3%上昇だったと発表した。上昇は3カ月連続である。
何が伸びたのか
全15業種のうち13業種で上昇した。牽引したのは生産用機械工業で7.6%上昇、うち半導体製造装置は11.1%上昇と際立っている。ガソリンや灯油を含む石油・石炭製品工業も4.1%上昇した。
一方で、電子部品・デバイス工業は在庫調整などにより6.3%低下、鉄鋼・非鉄金属工業も0.4%低下している。出荷は0.4%の低下、在庫は2.3%上昇と4カ月ぶりのプラスに転じた。経済産業省は生産の基調判断を「一進一退で推移している」で据え置いた。
先行きの製造工業生産予測指数は、7月が1.2%上昇、8月が4.5%上昇の見込みとなっている。
数字の読み方
3カ月連続上昇という見出しだけを見れば景気は回復基調に見える。だが中身は「半導体製造装置ひとり勝ち」に近い。AI関連投資が装置メーカーの受注を押し上げる一方、電子部品・デバイスは在庫を減らす局面に入っており、素材に近い鉄鋼・非鉄も伸びていない。出荷が0.4%低下しながら在庫が2.3%増えたという組み合わせも、作った分がそのまま売れているわけではないことを示している。基調判断が据え置かれたのは、この不均一さを反映したものと読める。
町工場にとっての意味
まず納期(D)である。半導体製造装置向けの精密加工・板金・治具を手がける工場には、当面まとまった引き合いが続く可能性が高い。8月の予測指数が4.5%上昇と大きいことも踏まえ、盆明けの山を見越した人員と機械の押さえを先に済ませておきたい。
次にコスト(C)だ。電子部品・デバイスが在庫調整に入っているということは、その系列の下請けでは逆に手が空く時期が来るということでもある。装置系が忙しく部品系が緩む——この二極化を前提に、営業先を装置系へ寄せておくか、閑散期に設備更新や補助金申請を仕込むか、判断は早いほうがよい。
そして品質(Q)。忙しい側に入った工場ほど、短納期のしわ寄せが検査工程に出やすい。受注が伸びている今こそ、検査基準の明文化と記録の残し方を見直す好機である。