東京商工リサーチが2026年10月8日に発表した2026年度上半期(4〜9月)の全国企業倒産(負債1,000万円以上)は5,373件で、前年同期比3.8%増となった。上半期としては5年連続の増加で、2013年度(5,505件)に次ぐ高水準である。負債総額は8,561億6,900万円(同23.5%増)だった。
製造業は547件で2年連続の減少、ただし中身は一様ではない
業種別では10産業中6産業が増加した。最多はサービス業他の1,828件(3.7%増)。製造業は547件(3.1%減)で2年連続の減少となった。一方で、増加した業種の例としてプラスチック製品製造業が挙げられており、製造業の中でも業種によって明暗が分かれている。
原因別では、人手不足関連の倒産が240件(前年同期205件)で過去最多を更新した。内訳は「人件費高騰」が130件(同74件)、「従業員退職」が67件(同65件)で、いずれも過去最多である。物価高倒産も436件(同370件)と最多を更新した。従業員10人未満が90.6%を占め、小規模企業の倒産が中心である。
背景:「金利のある世界」で金融機関の目が変わる
東京商工リサーチは、金融機関が採算性を重視した貸出姿勢に移っており、返済条件の変更(リスケ)を繰り返す企業は事業性を見極めた対応になるとみている。年末に向けて資金需要が高まるなか、業績回復が進まない小・零細企業を中心に、下半期は倒産が増える可能性が高いとしている。
町工場にとっての意味
製造業の件数減は安心材料にならない。倒産の主因が「売上が立たない」から「人件費と仕入れが上がり、利益が残らない」へ移っているからだ。コスト(C)の視点では、賃上げ分と材料高を見積単価に織り込めているかを、製品・取引先ごとに改めて点検したい。価格転嫁が追いつかない取引は、受注量が多いほど資金を削る。
もう一つは取引先の与信である。倒産の大半は小規模企業であり、自社の外注先や材料の仕入先が突然止まれば、納期(D)が崩れる。主要な外注先の代替候補を一つ持っておくこと、売掛金の回収サイトが急に延びた取引先には注意を払うこと。