財務省が2026年9月1日に公表した法人企業統計調査(2026年4-6月期)で、全産業(金融業・保険業を除く)の経常利益が44兆6,668億円となり、前年同期比24.6%増と7四半期連続の増益になった。金額は過去最高を更新している。一方で設備投資の伸びは1.6%にとどまり、製造業に限れば前年同期を下回った。
売上は5.9%増、利益は24.6%増
売上高は393兆9,377億円で前年同期比5.9%増。売上の伸びに対して利益の伸びが4倍以上ある。値上げとコスト転嫁が利益まで届いた四半期だった、と読める。
けん引したのは製造業である。経常利益は17兆6,875億円で前年同期比57.0%増。売上高の伸びは6.1%にとどまるので、伸びているのは売上ではなく利益率そのものだ。非製造業は経常利益9.8%増、売上高5.9%増と、売上と利益がほぼ並走している。
ところが設備投資は伸びていない
ソフトウェアを除く設備投資は13兆250億円、前年同期比1.6%増。6四半期連続のプラスではあるが、利益の伸び(24.6%増)とは桁がひとつ違う。
内訳を見るとさらに差が開く。非製造業が4.7%増だったのに対し、製造業は3.7%減。利益を57.0%増やした製造業が、設備投資は減らしている。
なお設備投資の伸び率は、ソフトウェアを含めるかどうかなど集計範囲によって数字が変わる。ここではソフトウェアを除く数値を用いている。
町工場にとっての意味
この統計の対象は資本金1,000万円以上の企業で、金額の大半は大企業が作っている。「うちの実感とは違う」と感じるのは自然だ。そのうえで、二つの読み方ができる。
ひとつは受注(D)の読み方である。発注元である大企業の製造業が最高益なのに設備投資を減らしているということは、来期以降の設備関連の引き合いが自動的に増えるとは限らない、ということだ。「利益が出ているのだから設備が動くはずだ」という前提は、少なくともこの四半期には成立していない。設備部品や治具を受けている工場は、営業の当てを「発注元の利益」ではなく「発注元の投資計画」に置き直したほうがいい。
もうひとつはコスト(C)と価格の読み方だ。製造業が売上6.1%増に対して経常利益57.0%増を出せたのは、上昇したコストを価格に乗せ切った企業が多かったからである。発注元がそれをできているのなら、自社の値上げ交渉でも「業界全体がそうなっている」と言える材料になる。過去最高益という数字は、交渉の場では相手の事情ではなく、こちらの根拠として使える。