東京都産業労働局は2026年9月24日、「東京都中小企業の景況 令和8年9月調査」を公表した。8月の都内中小企業の業況DI(業況が「良い」とした企業割合-「悪い」とした企業割合)は-22と、前月の-18からやや下向いた。一方、製造業は-17で前月から横ばいとなり、今後3か月(9〜11月)の見通しDIは-23から-19へ4ポイント改善した。
数字で見る8月の都内中小企業
- 業況DI(全体):-22(前月-18)=やや下向く
- 業況見通しDI(全体・9〜11月):-16(前月-16)=横ばい
- 業種別業況DI:製造業-17(前月-17)、卸売業-18(同-11)、サービス業-17(同-11)、小売業-37(同-33)
- 前年同月比売上高DI:全体-21(前月-17)、製造業は-14で横ばい
- 業種別見通しDI:製造業-19(前月-23)でやや改善、卸売業-13(同-15)、サービス業-12(同-7)、小売業-22(同-19)
調査は9月1日〜8日に実施され、対象3,875社のうち1,283社(製造業は342社)が回答した。
背景:コスト増の最大要因は「原材料」が過半
同時に集計されたコストの動きを見ると、前年同月と比べて8月のコストが「増加」した企業は全体の55.1%(前回57.6%)だった。コスト増加の最大の要因は「原材料価格」が54.9%(前回52.7%)で最も多く、「人件費」26.1%、「エネルギー価格」8.2%(前回11.4%)、「為替の変動」6.9%が続く。エネルギーの比重がやや下がり、原材料の比重が上がった形だ。
付帯調査(全業種)では、2025年度の経常利益が前年度より「増加」した企業は24.4%にとどまり、「減少」が42.7%を占めた。2026年度の収益見通しも「好転」15.8%に対し「悪化」35.3%と、慎重な見方が多い。
町工場・中小製造業にとっての意味
卸売・サービス・小売がそろって悪化するなか、製造業だけが横ばいを保ち、先行きもやや持ち直した。受注の底割れは避けられているとみてよい。ただし、利益の面では楽観できない。原材料がコスト増要因の過半を占める状態が続いており、売上が横ばいでも粗利は削られやすい。
- C(コスト):エネルギーより材料の比重が増している。見積の前提単価を材料ごとに見直し、9月の「価格交渉促進月間」の流れに乗せて、材料費の変動を根拠資料付きで取引先に示したい。
- D(納期):見通しDIの改善は、年末に向けた受注回復の期待を映す。卸売の悪化は流通在庫の調整を示唆しており、急な増減に備えて材料の手配リードタイムを確認しておきたい。
- Q(品質):コスト圧力が強い時期ほど、材料の切り替えや工程の省略が品質トラブルの火種になる。変更点管理を徹底したい。