日本銀行が2026年9月11日に公表した企業物価指数(2026年8月速報)によると、国内企業物価指数は136.1(2020年平均=100)で、前年比7.6%の上昇となった。7%台は3カ月連続。一方で前月比は0.2%の下落となり、前月比のマイナスは2025年8月以来である。
下がったのはエネルギー、上がったのは非鉄金属
前月比を押し下げた類別は、電力・都市ガス・水道(寄与度▲0.14%、都市ガス・事業用電力)、農林水産物(同▲0.12%、精米・豚肉)、石油・石炭製品(同▲0.12%、B重油・C重油、ジェット燃料油、潤滑油)だった。スクラップ類も▲0.04%で、鉄屑・銅アルミ屑が下げている。
逆に押し上げたのは非鉄金属(寄与度+0.10%、銅、アルミニウム合金ダイカスト、金地金)で、プラスチック製品+0.04%、金属製品+0.02%、鉄鋼+0.01%と続く。金属製管継手やパッキン・ガスケット、小形棒鋼といった、町工場が仕入れる側の品目は上がったままだ。
輸入物価は円ベースで前年比24.8%上昇、契約通貨ベースでは同16.7%。前月比は円ベース▲3.0%、契約通貨ベース▲1.0%で、下げの主因は原油・ナフサ・液化石油ガス(寄与度▲1.18%)である。ただし「はん用・生産用・業務用機器」は+0.08%で、バルブ・金属工作機械・複写機が上がっている。
町工場にとっての意味
総平均の前月比が下がったからといって、仕入値が下がったと読むのは早い。下げたのは燃料と電力・ガスであり、材料そのものではない。むしろ銅・アルミ、樹脂、鋼材、金属部品といった加工の元になる品目は上を向いている。コスト(C)は総平均ではなく、自社が実際に買っている類別で見るべきだという点は7月分と変わらない。
実務上の要点は二つある。一つは、燃料と電力が下がった局面は、価格転嫁の交渉で「全体は下がっているのでは」と言われやすいということ。銅が上がり鉄屑が下がるといった品目ごとの動きを、寄与度つきで示せるようにしておきたい。もう一つは、輸入物価が前年比で2割を超えて高い状態が続いていること。円ベースと契約通貨ベースで8ポイント近い差があるのは為替の分であり、輸入材を使う工程では、為替が振れた瞬間に原価が動く前提で見積の有効期限を短めに切っておくのが安全である。