日本銀行は8月13日、企業物価指数(2026年7月速報)を公表した。国内企業物価指数は前月比0.1%上昇、前年比では7.2%上昇となり、高い伸びが続いている。指数の水準は135.8(2020年平均=100)。7月から9月に適用される夏季電力割増料金の影響を除いた「夏季電力料金調整後」では前月比0.0%と、横ばいだった。
押し上げたのは電力と非鉄、押し下げたのは石油と化学
前月比0.1%上昇の内訳を寄与度で見ると、押し上げたのは電力・都市ガス・水道(+0.23%、事業用電力・都市ガス・上水道)、飲食料品(+0.07%)、非鉄金属(+0.07%、アルミ圧延製品・アルミニウム合金地金・銅)、プラスチック製品(+0.05%)、電気機器(+0.04%)、鉄鋼(+0.04%、工具鋼・形鋼・機械用銑鉄鋳物)などである。
逆に押し下げたのは石油・石炭製品(▲0.20%、ナフサ・ジェット燃料油・軽油)と化学製品(▲0.18%、エチレン・プロピレン・キシレン)で、スクラップ類(▲0.03%、銅・アルミニウム屑、鉄屑)も下げた。つまり7月の国内物価がほぼ横ばいで済んだのは、石油と化学の下落が電力と金属の上昇を打ち消したからであって、金属材料そのものは上がり続けている。
輸入物価指数は円ベースで前年比29.1%上昇(前月比+1.3%)、輸出物価指数は円ベースで同18.9%上昇(前月比+0.1%)だった。
町工場にとっての意味
コスト(C)の面で見逃せないのは、鉄鋼の押し上げ品目に「工具鋼」「形鋼」「機械用銑鉄鋳物」が並んでいることだ。総平均が横ばいでも、町工場が実際に買う品目は上がっている。「企業物価は落ち着いた」というニュースの見出しだけで自社のコストを判断すると、実感と数字がずれる。
あわせて、電力が押し上げの最大寄与になっている点も重い。加工機、コンプレッサ、熱処理炉、集塵機を回す工場では、夏場の電力費が利益を直接削る。夏季電力料金調整後が前月比0.0%だったという事実は、裏を返せば「7月の上昇分は夏季割増によるもので、これは毎年9月まで続く」ということでもある。
品質(Q)と納期(D)を守りながら価格転嫁を進めるには、根拠の提示が要る。企業物価指数は日銀のサイトで類別ごとに公表されており、自社が使う材料に近い類別(鉄鋼、非鉄金属、プラスチック製品、電力)の数値をそのまま交渉資料に使える。輸入物価が円ベースで前年比29.1%という水準にある以上、次の見積り更新まで待つ理由はほとんどない。