2026年度の地域別最低賃金について、8月14日時点で25都道府県の地方最低賃金審議会が答申額を公表した。7月28日に中央最低賃金審議会が示した目安は、Aランク+54円、B・Cランク+56円、全国加重平均で1,176円(+55円、引き上げ率4.9%)である。地方審議会はこの目安をもとに各県の額を決めるが、目安に縛られるわけではない。
目安を上回る答申が相次ぐ
答申済みの県では、目安を上回る回答が相次いでいる。
- 引き上げ額が最大:宮城県・鳥取県の+60円
- Aランクの目安(+54円)を1円上回った:埼玉県・千葉県・愛知県(+55円)
- 答申額が最高:東京都の1,280円
残る22県は8月中旬以降に順次公表される見込みで、それまでは2025年度額が適用される。
町工場にとっての意味
今回とくに注意したいのは、発効日がそろっていないことである。答申済みの県でも発効予定日は10月1日から10月15日まで幅があり、静岡は10月15日、山口は10月8日、福岡は10月4日となっている。複数県に事業所やパート従業員を抱える工場は、県ごとに切替日が違う前提で賃金台帳と就業規則を確認しておく必要がある。切替日を一律10月1日と思い込んでいると、逆に払いすぎか払い足りないかのどちらかが起きる。
もう一点。最低賃金そのものに該当する従業員がいない工場でも、影響は無関係ではない。下限が上がれば時給テーブル全体が押し上げられ、勤続年数の長い社員との差が詰まる。10月に慌てて調整するより、8月から9月にかけて自社の賃金表を並べ直しておきたい。
そして上がった人件費(C)を、どの取引先にどう転嫁するか。取適法(旧下請法)の施行後、価格交渉の材料は増えている。最低賃金の答申額と発効日は公表された事実なので、交渉の根拠として使いやすい。答申が出た県から順に、単価改定の相談を始める時期である。
出典
- 最低賃金の全国平均1176円に 26年度目安、55円引き上げ(日本経済新聞・2026年7月28日)
- 2026年度の最低賃金 都道府県別一覧|答申状況を随時更新(寺田税理士・社会保険労務士事務所/社労士法人フォーグッド・2026年8月14日更新)
- 最低賃金55円引き上げ、全国平均1176円に―厚労省審議会(nippon.com)