経済産業省が2026年9月30日に公表した8月の鉱工業生産指数(速報、2020年=100、季節調整済み)は102.6で、前月比1.7%の低下となった。7月(0.2%低下)に続き2カ月連続のマイナスで、基調判断は「生産は一進一退」に据え置かれた。事前の市場予想は上昇(QUICK集計の中心値は1.7%上昇)であり、予想とは逆向きの結果である。
下げたのは自動車、上げたのは生産用機械
全15業種のうち12業種が低下した。最大の下押しは自動車工業で、前月比6.8%減。7月下旬に発生した熊本地震に伴う自動車部品工場の停止などで、乗用車の生産が減った。台風の影響も重なったとされる。石油・石炭製品工業も定期修理の影響で13.3%減となった。
一方、生産用機械工業は6.1%増と上昇した。金型や産業用ロボットが好調だったという。製造工業生産予測調査では、9月・10月とも上昇が見込まれており、AI関連需要が押し上げ要因、中東情勢が下振れリスクと指摘されている。
町工場にとっての意味
今回の減産は需要が消えたのではなく、部品の供給が止まったことによるものだ。ここが大事な点である。完成車の生産ラインは、たった一つの部品工場が止まるだけで全体が止まる。そしてその影響は、震源地から遠く離れた二次・三次の部品メーカーにも、受注の急減と急回復という形で届く。
納期(D)の視点では、二つの備えが効く。一つは、自社の取引先が「どこの工場の何に依存しているか」を一段先まで把握しておくこと。主要顧客の調達先が被災した場合、自社への発注がいつ止まり、いつ戻りそうかを早めに読めれば、人員配置と材料手配の手戻りを減らせる。もう一つは、回復局面の「挽回生産」に備えること。止まった分を取り戻すための前倒し発注は、短納期・多量で来やすい。残業と外注の余力をどこまで出せるか、事前に線を引いておきたい。
また、生産用機械(金型・ロボット)が伸びている点は、設備投資の波がまだ続いていることを示す。治具や機械部品を扱う工場にとっては、自動車の落ち込みとは別の流れとして見ておくべきだろう。