財務省が2026年9月16日に公表した8月分の貿易統計速報によると、貿易収支は1兆1,056億円の赤字となり、4カ月連続の赤字となった。輸出は10兆484億円で前年同月比プラス19.3パーセント、12カ月連続の増加。輸入は11兆1,540億円で同プラス28.0パーセント、7カ月連続の増加である。
輸出は伸びている。それ以上に輸入が伸びた
品目別に見ると、輸出を押し上げたのは半導体等電子部品(プラス52.3パーセント)、半導体等製造装置(プラス40.1パーセント)、自動車(プラス16.5パーセント)だった。半導体関連の設備・部品と自動車という、日本の稼ぎ頭が揃って二桁で伸びている。
一方の輸入は、原粗油がプラス58.7パーセント、半導体等電子部品がプラス82.1パーセント、電算機類がプラス54.2パーセントと、輸出の伸び率を上回る品目が並んだ。前月の7月分では貿易赤字が6,345億円だったから、赤字幅は1カ月で倍近くに広がったことになる。
町工場にとっての意味——「輸出好調」の見出しでコスト(C)を読み違えない
「輸出が12カ月連続で増えた」という見出しだけを見ると景気は良さそうに映る。だが中小製造業の損益に直接効くのは、輸出額ではなく仕入価格のほうだ。
原粗油がプラス58.7パーセントということは、燃料費・電力費・樹脂原料・輸送費がまとめて押し上げられているということである。加えて半導体等電子部品の輸入がプラス82.1パーセントというのは、装置・制御盤・センサ類を組み込む工程を持つ事業者にとって、部品調達コストの上昇圧力が続いていることを示す。
確認しておきたいのは次の2点だ。
- コスト(C)——燃料・電力サーチャージと樹脂・電子部品の単価改定が、直近3カ月でいくら上がったか。総平均ではなく品目別に並べる。輸入物価の上昇は品目によって振れ幅が大きく、平均で見ると自社への影響を読み違える。
- 納期(D)——電算機類・電子部品の輸入が大きく伸びているのは、裏を返せば国内で取り合いになっている品目でもある。装置更新やPLC・制御機器の交換予定があるなら、リードタイムを今の時点で取引先に確認しておきたい。
なお、9月18日に日銀が政策金利を1.25パーセントへ引き上げた狙いのひとつが、この輸入コスト上昇の一因である円安を抑えることにある。効果が仕入価格に表れるとしても数カ月先になるため、当面は価格転嫁交渉を止めない前提で組み立てるほうが現実的だ。