コラム:DtoC(メーカーが消費者へ直接販売する形)でいちばん相談が多く、いちばん失敗が多いのが「値付け」です。今回はそこに絞って、具体的な数字の組み立て方を解説します。
「原価1,000円だから、2,000円で売れば儲かる」。DtoCをこの感覚で始めると、ほぼ確実に手元にお金が残りません。ネット直販には、製造原価の外側にいくつものコストが乗るからです。まずはそれを一つずつ積み上げて、「いくらで売れば続けられるか」を先に決めましょう。
売価に乗せるべき6つのコスト
- 製造原価(材料+加工+自分の人件費)。自分の手間賃を入れ忘れる人が非常に多いです。
- 送料・梱包費。送料無料にするなら、その分は売価に内包します。
- 決済手数料(売上の3〜4%前後)。
- モール/カート利用料(モールなら売上の10%前後、自社カートなら月額)。
- 広告費。新規客を呼ぶには、売上の1〜2割を広告に回す前提で考えます。
- 返品・不良・問い合わせ対応の手間。一定割合で必ず発生します。
具体例:原価1,000円の商品をいくらで売るか
製造原価1,000円の商品を例にします。送料・梱包で400円、決済3.5%、モール10%、広告15%、返品・予備で5%を見込むとします。これらを乗せて、なお手元に利益を残すには、売価はおおむね3,000〜3,500円が目安になります。「倍の2,000円」では、送料と手数料でほぼ消えてしまうのです。高いと感じるかもしれませんが、これが「続けられる価格」です。
安売りせずに価値を伝える3つの工夫
1. 使う理由を語る。スペックではなく「これがあると毎日のどんな手間が消えるか」を書きます。
2. 作り手の顔を見せる。誰がどんな想いで作っているかは、価格への納得感を生みます。当メディアのインタビュー記事もこの役割を果たします。
3. 小さなセット・名入れなどで単価を上げる。単品より、用途が完結するセットのほうが価値が伝わり、価格も通りやすくなります。
既存の卸売とぶつからないために
すでに問屋や小売に卸している場合、DtoCの価格を卸先より安くすると関係が壊れます。ネット直販は「卸の上代(定価)と同じか、やや高め」に設定し、限定色や名入れなど直販だけの付加価値で差をつけるのが定石です。
まとめ:DtoCの値付けは「原価+6コスト+利益」で逆算する。感覚で2倍にせず、続けられる価格を先に決める。まずは1商品で小さく検証し、数字を自分の手で掴むことが、次の判断の土台になります。