財務省が8月20日に公表した2026年7月の貿易統計速報によると、輸出額は11兆5,118億円(前年同月比23.2%増)で11カ月連続の増加、輸入額は12兆1,463億円(同27.8%増)で6カ月連続の増加となった。差引の収支は6,345億円の赤字で、赤字は3カ月連続である。
伸びているのは半導体と自動車、押し下げているのは原油
輸出で伸びた主な品目は、半導体等電子部品が49.1%増、半導体等製造装置が40.9%増、自動車が19.5%増。AI・データセンター関連の需要が引き続き輸出を牽引している構図が続く。
一方の輸入では、原粗油が87.8%増と突出し、半導体等電子部品が79.7%増、非鉄金属が67.7%増となった。輸出が2割増えても、輸入がそれを上回る勢いで増えたため、赤字が解消しない。
「輸出好調」と「仕入が高い」は同時に起きる
この統計で町工場が読み取るべきは、輸出の伸びではなく輸入の中身である。原粗油87.8%増は燃料・電力・樹脂原料に、非鉄金属67.7%増は銅・アルミの材料費に、それぞれ数カ月かけて跳ね返ってくる。輸出産業の好調と、自社の仕入コストの上昇は、同じ円安・資源高というひとつの原因から出ている裏表の現象だ。
町工場にとっての意味
コスト(C)への影響が最も直接的である。銅・アルミを使う加工、樹脂成形、熱処理や溶接など電力を多く使う工程を持つ工場は、7月時点の輸入価格がこれから見積原価に効いてくると考えたほうがよい。とくに非鉄金属67.7%増という水準は、四半期に一度の材料費見直しでは追いつかない速度である。
実務としては、(1)銅・アルミ・樹脂の建値が変わったら見積もりを出し直す条件を注文書段階で明記しておく、(2)材料費・電力費の変動を根拠として示せるよう、輸入物価や建値の推移を月次で記録しておく、の2点が効く。値上げ交渉は「上がったから上げてください」ではなく「この指標がこれだけ動いたので、この分だけ改定させてください」と出せたほうが通りやすい。
納期(D)の面では、半導体等電子部品の輸入が79.7%増と急増していることに注意したい。基板や制御部品を含む装置を組む工場では、部材の調達競争が激しくなる局面が続く。手配の前倒しと、代替品番の事前承認を取っておくことが、納期を守る現実的な手段になる。