中小企業庁が主催する後継者向けピッチイベント「アトツギ甲子園」の第7回が、2026年8月3日にエントリー受付を開始した。エントリー締切は2026年11月25日(水)18:00。地方大会は2027年1月19日から2月8日、決勝大会は2027年2月26日に開催される予定である。
「継ぐ人」が新規事業を競う大会
アトツギ甲子園は、39歳以下の中小企業・小規模事業者の後継予定者が、家業の経営資源を活かした新規事業のアイデアを競う大会である。応募資格は、家業を今後承継する予定であるか、すでに家業の経営資源を活用して事業に取り組んでいること。親族外承継も対象に含まれる。
主催は中小企業庁(受託は有限責任監査法人トーマツ、一般社団法人ベンチャー型事業承継)、後援は金融庁および農林水産省。今回はあわせて「アトツギSUMMER CAMP」の開催と、後継者を後押しする「アトツギ甲子園地域アンバサダー」の任命も発表されている。
事業承継が「引き継ぐ」から「作り替える」へ
この大会の設計思想は、事業承継を「そのまま渡す」ことではなく「渡したうえで変える」ことに置かれている点にある。既存の設備・技術・取引先という経営資源を前提にしたうえで、新しい事業をどう乗せるかを問う。ゼロから起業するスタートアップのコンテストとは、評価される軸が違う。
製造業の後継者不在率は改善傾向にあるものの、技能継承の壁は残ったままだ。後を継ぐ側にとっての本当の課題は「継げるかどうか」ではなく、「継いだあと何で食べていくか」に移っている。
町工場にとっての意味——応募しなくても使える「締切」
結論から言えば、賞を狙わなくても、この大会は使える。エントリー締切の11月25日までに、後継予定者が「家業の資源を使った新規事業案」を一本まとめる。それだけで、社内では出てこなかった議論が動く。
- 強みの言語化が進む——応募書類は「うちの設備と技術で何ができるか」を外部に説明する練習になる。これは補助金の事業計画書にもそのまま流用できる
- 親子で同じ資料を見る——承継の話は感情論になりやすいが、事業計画という共通の紙があれば議論が具体になる
- 外部の目が入る——地方大会・決勝大会では審査員や他の後継者からのフィードバックが得られる。社内では誰も言ってくれないことが聞ける
参加費のかからない期限つきの締切は、それ自体が経営資源である。後継予定者がいる工場は、11月までのスケジュールに一度乗せてみる価値がある。